減らしても、なんだか”足りない”

片づけに本気で取り組んだ時期がありました。
Youtubeの動画や本などの影響を受け、とにかく「モノを減らせば暮らしが整う」と信じて、捨てて、手放して、スッキリとした部屋を目指して――。
実際、視界に入るモノは少なくなり、掃除もしやすくなりました。
だけど、ふと気づいたんです。
「なんだか、さみしいかも」って。
部屋はスッキリしているはずなのに、どこか味気ない。
モノが減った分、空間が広がったはずなのに、心はちょっとだけ、空っぽになったような気がして…
その時、ようやく思いました。
「そうか!”自分の好きなモノ”が足りないんだ」と。
たくさん捨てたからこそ見えてきた、『自分にとって本当に大切なモノ』が何なのか……
多くのモノを持っていた時には、それが何なのかわかりませんでした。
しかし、モノを減らしたことにより、それが考えられるようになりました。
今の私は、「減らす」から「好きを加える」段階なのかもしれません。
減らすことで見えた、”自分の好き”
たくさんのモノを手放していく中で、次第に気づいたことがあります
それは、「必要かどうか」だけで判断していた頃には見えてこなかった、
自分の”好き・嫌い”という感覚。
「これは使っていないから捨てよう」
「これは予備があるから手放してもいい」
そんなふうに実用性や量で判断していくうちに、出てくるんです…別に必要じゃないけど、残しておきたいモノ。
それは、
誰かにもらったプレゼントだったり、
見ているだけでホッとする雑貨だったり、
昔からなぜか気にいっているモノだったり。
「必要だから残したい」ではなく、
「好きだから、そばに置いておきたい」
そう思えるモノこそ、自分にとって本当に大切な存在だったのかもしれません。
それに気づいたとき、「片づけ=ただ減らすこと」ではないんだ、と少し肩の力が抜けました😌
好きを“加える”ことも大切に

そして、自分の好きは持っているモノだけでなく、「新しく買う」ことでも増やしてもいいと思っています。
また無駄にしてしまうかもと不安を感じるかもしれませんが、
モノを減らしていく過程で、モノを買う目まで養われていきます。
「これ好き!」という目線だけでなく、「自分にとって本当に必要なモノか」という目線も加わっているので、無駄になることは少なくなります。
そんなふうに考えて買ったモノは、本当に大切に扱うようになります😌
もし無駄になってしまったとしても大丈夫ですよ!
この経験を活かし、さらに買い物の目が養われていくことになりますから😊
だから、「これ、好きかも…。」って思えるモノは予算内であれば、買ってみてもいいんです👌
好きを取り入れたら、部屋が”自分の居場所”になった
少しずつ、自分の”好き”を部屋に取り入れるようになって、部屋の雰囲気、というより「自分にとっての部屋の印象」が変わってきました。
お気に入りのおもちゃのブリキの車を飾ってみたり、
本棚に自分の好きな本だけを並べてみたり、
最近買った心が温まるように感じる間接照明を置いてみたり、
単純にモノが少なければ良い、というわけではなく、
「自分にとって心地よいモノがある空間」が何より落ち着く。
それがだんだんと実感できるようになりました。
不思議なことに、モノがあっても散らかって見えないんです。
「ここにあるのが自然」と思えるモノたちが、それぞれの居場所に収まっているだけ。
だからこそ、暮らしの中に彩りと、心の余白が生まれました😌
部屋に”自分らしさ”が戻ってくると、
帰ってきたとき、ホッと安心できるようになるんです。
誰かに見せるためじゃない、自分だけの”居場所”としての部屋。
モノを厳選して、そこに「好き」を少しだけ足す。
そんな暮らしの整え方も、悪くないなと思えるようになりました。
実例:私の”お気に入り”たち

実際、私が「これは手放せないな」と感じたモノたちが、いくつかあります。
たとえば、棚に飾っている青いブリキの車のおもちゃ。
30歳くらいの時、なんとなくおしゃれな感じの部屋になるかなと思って、ネットで衝動買いしたモノ。
特に思い入れもなく、買っただけで満足してしまい、ホコリがかぶってしまうくらい放置していました。
しかし、33歳くらいになった頃、掃除のモチベーションが爆上がりし細かいところまで掃除するようになり、その車のおもちゃもしっかり手入れするようになりました。
そうやって手入れいしているうちに、出てくるんです……思い入れが😌
今では、私のお気に入り第1位のモノになりました👑
そして、36歳くらいの時に買った仏教系…というか、仏教の考え方を元にどうやって心を穏やかに保ちながら生きていくかを教えてくれた本。
うつ病が寛解して間もない頃だったので、これからどう生きていけばよいのか悩んでいた頃でもあったのですが、この本を読んでなんだか救われた気分になりました。
今でも内容は覚えていますが、何度でも読み返したくなる……大切な本。
かなりの数の本を処分してきましたが、これだけは絶対に処分対象の候補にすら上がりません。
さらに、最近買ったあたたかい灯りをともしてくれる間接照明。
その間接照明のあたたかい灯りがついた瞬間、「今日もお疲れさま」と部屋が迎えてくれているような気がすることもあります。
そんなふうに、自分の”好き”に囲まれていると、
ただ過ごしているだけなのに、「ちゃんと自分を大切にできている」気がするんです。
お気に入りがそばにあるというだけで、毎日の暮らしにほんの少しのゆとりと、安心感が生まれる。
そんな実感を、日々のなかで少しずつ積み重ねています。
「お気に入り」と心地よく暮らすためのコツ

”好きなモノに囲まれて暮らす”といっても、なんでもかんでも増やしていけばいい、というわけではありません。
むしろ、お気に入りだからこそ、ちゃんと居場所をつくってあげることとルール化することが大切なんだと感じています。
たとえば、雑貨を飾る場所は「ここだけ」と決めて、そこに収まる分だけを飾るようにしています。
新たに雑貨を買うときは、今持っている雑貨と見比べて
「こっちの方が好きかも」「自分に合うかも」と思っても、すぐには買わず、
まず今あるものを見直して、処分してから買うようにしています。
本も同じです。
「本棚に余裕をもって入る分だけ」や「10冊だけ」とルールを決めて並べています。
そして、どうしても新しく読みたい本が出てきたら、
いまある本と比べてどちらを手元に残したいかを考えてから、本棚を入れ替えるようにしています。
飾るのは、少しだけでいい。
数は少なくても、”好き”がぎゅっと詰まった空間が、それだけで心を癒してくれます。
お気に入りと一緒に暮らすというのは、
「好き」に囲まれる安心感と、「整える」ことのバランスをとるということ。
そのちょうどいい距離感が見つかると、毎日の部屋がぐっと心地よくなっていきます。
まとめ:減らすことは”始まり”だった

モノを減らしていく中で、私が本当に手に入れたのは、
「スッキリした部屋」だけではありませんでした。
それは、心の中にできた”余白”。
そして、「本当に自分が大切にしたいものは何か」を見直すきっかけだったと思います。
必要なモノ以外手放して、ようやく見えてきた”自分の好きなモノたち”。
そこには、自分の価値観や癒し、安心感が詰まっていました。
「好きなモノに囲まれている暮らし」って、決して甘えや無駄遣いじゃないんです。
それは、”今の自分を大切にする”ための選択なんだと、今なら思えます。
減らすことは、ゴールじゃなくて”始まり”。
そこから自分らしさを取り戻していくプロセスこそが、暮らしを整えるうえで本当に大切なことなのかもしれません。
では、今までに懸命にモノを減らしてきたあなたに質問です。
あなたの”好き”は何ですか?